営業から企画職へ転職したい人が最初に作るべき経験

「営業から企画職に行きたい」

そう思って求人を見てみたものの、応募条件に書かれている「企画経験」「施策立案経験」「プロジェクト推進経験」という言葉を見て、手が止まってしまう人は多いと思います。

自分は営業しかしていない。
企画職という肩書きで働いたことはない。
職務経歴書に「企画経験」と書けるような大きな実績もない。

そう考えると、営業から企画職への転職は急に遠いものに見えてきます。

でも、私はそこで諦めなくていいと思っています。

私自身も、最初から企画職だったわけではありません。もともとは介護施設で働いていたので、そこで店舗運営をしながら新規営業と既存営業の両方を行っていたり、転職エージェントとして、企業と求職者の両方を結びつける営業をしていた時期もあります。

そこから少しずつ、営業の現場で見えていた課題をもとに施策を考えたり、社内外の人を巻き込んで形にしたりする経験を重ね、最終的には事業企画寄りのキャリアへ移っていきました。

だからこそ、「企画経験なんてない」という不安も私自身抱いていた悩みでしたし、同時に、企画経験は「企画職」という肩書きがないと作れないものではないとも感じています。

この記事では、営業から企画職へ転職したい人に向けて、私の実体験ややって良かったなと思うことを振り返りながら、最初に作るべき経験と、現職でできる小さな企画の作り方を整理します。

この記事で伝えたいこと

企画職への入口は、今の仕事の外側だけにあるわけではありません。営業の現場で見えている課題を、小さな施策や仕組みに変えることから始められます。

結論:最初に作るべきなのは「小さな企画を形にした経験」

営業から企画職へ転職したい人が最初に作るべきなのは、大きなプロジェクト経験ではありません。

まず作るべきなのは、今の仕事の中で見えている課題に対して、自分なりに仮説を立て、小さく試し、形にした経験です。

たとえば、商談でよく聞かれる不安をもとに営業資料を作り直す。失注理由を整理して、提案の順番を変える。顧客対応が属人化しているなら、誰でも使える簡単なチェックリストを作る。

こうした経験は、肩書きとしては営業の仕事に見えるかもしれません。でも中身を分解すると、企画職で求められる力にかなり近いです。

企画経験として見られやすい流れ
  • 現場や顧客の課題を見つける
  • なぜ起きているのか仮説を立てる
  • 小さな施策や仕組みに落とす
  • 社内外の人を巻き込んで実行する
  • 結果を見て、次に活かす

この流れを自分で回した経験があるなら、それは企画職へ近づくための材料になります。

「企画職に行きたいから資格を取ろう」「まずはスクールに通おう」と考える前に、今の仕事の中で小さな企画経験を作れないかを見た方がいいです。企画職への入口は、意外と今の仕事の中にあります。

営業経験は、企画職にかなり近い

営業と企画職は、まったく別の仕事に見えるかもしれません。

営業は売る仕事。企画は考える仕事。そんなふうに分けて考えている人も多いと思います。

でも、実際にはそこまできれいに分かれていません。

営業は、ただ商品を説明する仕事ではありません。相手が何に困っているのかを聞き、何を魅力に感じるのかを考え、どう伝えれば動いてもらえるのかを設計する仕事です。

これは企画職でもかなり使います。

企画職でも、ただアイデアを出せばいいわけではありません。社内の人に納得してもらう必要があります。協業先に一緒に動きたいと思ってもらう必要があります。顧客やユーザーにとって本当に意味があるのかを考える必要があります。

その意味で、営業経験者の強みは「提案して、人に動いてもらう力」です。

社内の人や協業先に対して、どうすれば魅力的に感じてもらえるか。どうすれば気持ちよく一緒に動いてもらえるか。相手の立場を見ながら、言葉や進め方を調整する力。

これは営業をやってきた人の、大きな武器です。

企画職を目指すときも、「自分は営業しかしていない」と見るのではなく、「営業の中で、どんな課題を見つけ、誰に提案し、何を動かしてきたか」と見直してみてください。

私が企画経験として評価された実体験

私の場合、企画経験としてあとから評価されたものの一つに、介護施設でのイベント企画があります。

当時、私は介護施設に関わる仕事をしていました。その中で、施設を利用している方やそのご家族、地域の方にとって、もっと接点を持ちやすくなるようなイベントを自分なりに企画しました。

これは単に「楽しそうだからイベントをやろう」という話ではありません。

顧客満足度を上げること。施設への理解を深めてもらうこと。新規利用者の獲得につなげること。営業活動にも活かせる形にすること。

そういう複数の目的を持った施策でした。

実体験で評価されたポイント

イベントそのものの大きさではなく、現場で見えていた課題に対して、自分なりに仮説を立て、実現させるために行動へ落とし込み、形にしたことを評価してもらいました。

結果として、そのイベントは顧客満足度と新規利用者獲得の両方に効く施策になり、他店舗でも展開されることになりました。

もちろん、当時の私は「企画職に転職するための実績を作ろう」ときれいに考えていたわけではありません。

ただ、現場で見えていた課題に対して、自分なりに仮説を立てて、実現させるために行動へ落とし込み、形にした。その点を、転職活動やキャリアの中で評価してもらうことがありました。

営業から企画職へ行きたい人は、まずこの視点で過去の経験を棚卸ししてみてください。自分では営業活動の一部だと思っていたことが、見方を変えると企画経験として語れることがあります。

現職で作れる企画経験5つ

では、今の営業職の中で、どんな経験を作れば企画職に近づけるのでしょうか。

1. 顧客の声を整理して、社内への改善提案にする

営業をしていると、顧客から同じような不満や要望を何度も聞くことがあります。

資料だけだと分かりにくい。料金体系が複雑で比較しづらい。導入後の流れがイメージできない。この機能があれば検討しやすい。

こうした声を、ただの雑談や商談メモで終わらせないことが大事です。

同じような声が何件あったのか。どの顧客層で多いのか。受注や失注にどう影響しているのか。

それを整理して、社内に改善提案として出すだけでも、企画経験の入口になります。企画職では、顧客や市場の声をもとに課題を言語化する力が求められます。営業はその一次情報を一番近くで拾える立場です。

2. 失注理由や商談傾向をまとめて、提案方法を変える

失注はつらいものですが、企画職を目指す人にとってはかなり大事な材料になります。

なぜ負けたのか。価格なのか、機能なのか、タイミングなのか、競合との違いなのか、そもそも提案する相手が違ったのか。

これを自分なりに整理して、営業資料やトーク、提案の順番を変えてみる。

たとえば、いつも機能説明から入っていたけれど、導入後の業務イメージから話すようにした。価格で比較されやすいなら、先に費用対効果の見せ方を変えた。決裁者に伝わっていないなら、上申用の資料を作った。

こういう改善は、営業成績のためだけではなく、企画職でも評価されやすい経験になります。なぜなら、現状を分析し、仮説を立て、打ち手を変えているからです。

3. 何か小さな仕組みを作る

企画職に近づきたいなら、「小さな仕組みを作る」経験はかなりおすすめです。

ここでいう仕組みは、大きなシステムや立派な制度である必要はありません。

顧客情報の共有フォーマット。商談後の振り返りテンプレート。紹介を生むための声かけの流れ。イベント運営のチェックリスト。問い合わせ対応の型。新人が迷わないための営業準備リスト。

こういうもので十分です。

仕組みを作る経験がいいのは、「自分が頑張る」から「誰かが再現できる形にする」へ視点が変わるからです。

営業として成果を出すだけなら、自分の気合いや工夫で何とかなる場面もあります。

でも企画職では、自分一人が頑張るだけでは足りません。周囲の人が動きやすくなる形にする。再現できる状態にする。属人化していたものを少しだけ整理する。

小さな仕組みを作って、それを誰かに使ってもらう。使った結果、少しでも仕事が進めやすくなったり、顧客対応が安定したりしたなら、それは企画経験として語れます。

4. 顧客満足度と新規獲得の両方に効く小さな施策を試す

営業から企画職を目指すなら、「売るためだけの施策」ではなく、顧客にとっても意味がある施策を考えてみるのがおすすめです。

たとえば、既存顧客向けの勉強会を開く。導入後の不安を減らす説明会を作る。利用者の声を紹介する場を作る。紹介が生まれやすい接点を設計する。

こうした施策は、顧客満足度にも効きますし、新規獲得にもつながる可能性があります。

私が介護施設で行ったイベント企画も、この考え方に近いものでした。

利用者やご家族にとって意味があり、施設の魅力も伝わり、新規利用者の獲得にもつながる。営業活動と顧客満足を分けずに考える経験は、企画職でも活きやすいです。

ポイントは、最初から完璧な施策にしようとしないことです。まずは小さく試す。反応を見る。うまくいった部分を残し、うまくいかなかった部分を変える。この小さな検証の積み重ねが、企画経験になります。

5. 社内や協業先を巻き込んで、実行まで持っていく

企画職に必要なのは、考える力だけではありません。

むしろ大変なのは、考えたことを実行まで持っていくことです。

営業経験者は、ここで強みを出しやすいです。相手の事情を聞き、メリットを伝え、動いてもらう。これは営業で日々やっていることだからです。

社内の別部署に協力してもらう。上司に提案する。協業先に一緒に動いてもらう。顧客に参加してもらう。

こうした巻き込みの経験は、企画職でもかなり重要です。

企画は、机の上で完結しません。誰かに動いてもらって、初めて形になります。

だから、営業職のうちに「自分一人で完結しない小さな施策」を経験しておくと、企画職への転職でも語りやすくなります。

企画職で評価されやすい語り方

せっかく企画に近い経験があっても、語り方を間違えると伝わりにくくなります。

「イベントをやりました」「資料を作りました」「改善提案をしました」だけだと、ただ作業をしたように見えてしまいます。

企画職を目指すなら、次の流れで話せるようにしておくといいです。

職務経歴書・面接で語る型
  • 課題:何が問題だと感じたのか
  • 仮説:なぜその打ち手が効くと思ったのか
  • 施策:具体的に何をしたのか
  • 結果:何が変わったのか
  • 学び:次にどう活かせるのか

たとえば、私のイベント企画であれば、こう整理できます。

課題は、施設の魅力が外部に伝わりにくく、利用者やご家族との接点も限られていたこと。仮説は、施設の雰囲気や価値を体験できる場を作れば、満足度と新規利用者獲得の両方に効くのではないか、ということ。施策は、施設独自のイベントを企画し、営業活動にも活用したこと。結果は、顧客満足度と新規利用者獲得の双方に効果があり、他店舗にも展開されたこと。学びは、現場の課題をもとに施策を作ると、営業にも運営にも効く打ち手になるということ。

このように語ると、単なるイベント実施ではなく、企画経験として伝わりやすくなります。

成果が大きくなくても構いません。

大事なのは、自分が何を課題だと捉え、どう考え、どう動き、何を学んだのかを言葉にすることです。

営業から企画職を目指す人がやりがちな勘違い

営業から企画職を目指す人が一番やりがちな勘違いは、「企画なんてしたことがないから無理だ」と半ば諦めてしまうことです。

たしかに、職種名として企画職を経験していなければ、不安になるのは自然です。

でも、実際には営業の中で企画に近いことをしている人はいます。

顧客の声をもとに提案内容を変えた。社内の業務フローを改善した。資料を作り直した。イベントを企画した。紹介が増える仕組みを作った。新しい顧客層に試しにアプローチした。

こうした経験を「営業の一部」として流してしまうと、何も残りません。

でも、「課題を見つけて、仮説を立てて、施策にした経験」として棚卸しすると、企画職につながる材料になります。

もう一つの勘違いは、いきなり大きな企画を作ろうとすることです。

新規事業を立ち上げないといけない。全社横断のプロジェクトを動かさないといけない。大きな売上成果を出さないといけない。

そう考えると、ハードルが上がりすぎます。

最初はもっと小さくていいです。

自分の知見やスキルを活かせる範囲で、少しだけ企画寄りにスライドさせる。営業として見えている課題を、改善提案や仕組みづくりに変えてみる。

このくらいのハードルから始めた方が、現実的に動けます。

転職活動では、求人を見る前に「経験の翻訳」をする

営業から企画職を目指すとき、いきなり求人だけを見ると落ち込みやすいです。

応募条件に「企画経験3年以上」「プロジェクト推進経験」「事業計画の策定経験」などと書かれていると、自分には関係ない仕事のように見えてしまいます。

でも、その前にやるべきなのは、自分の経験の翻訳です。

介護施設で店舗運営をしながら新規営業と既存営業をしていた経験は、現場課題を拾いながら施策に変える経験として語れるかもしれません。転職エージェントとして企業と求職者を結びつけていた経験は、複数の利害関係者を調整する経験として語れるかもしれません。イベントを企画して営業活動に活かした経験は、顧客接点を設計した施策経験として語れるかもしれません。

自分では普通の営業経験だと思っていることも、職種を変えて見ると意味が変わります。

ただ、この翻訳は一人でやると難しいです。

だから、転職エージェントに相談したり、求人を見ながら自分の経験がどの職種に近いのかを壁打ちしたりするのは、かなり意味があります。

私自身も、エージェントに相談していたおかげで、自分では気づきにくかった可能性を見てもらい、縁があってキャリアチェンジの転職をすることができました。

今すぐ転職すると決めていなくても構いません。

まずは求人を見てみる。自分の経験がどう見えるのかを聞いてみる。営業企画、事業企画、マーケティング、カスタマーサクセス、事業開発など、どの方向にスライドできそうかを確認してみる。

それだけでも、次に作るべき経験が見えやすくなります。

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企画職の中でも新規事業や事業開発寄りに興味がある人は、未経験から新規事業開発職に転職した私がしたことも参考になると思います。求人名だけで探さず、少しずらした入口から近づく考え方を書いています。

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よくある質問(FAQ)

営業から企画職へ未経験で転職できますか?
可能性はあります。ただし、完全に何も準備せずに「企画職をやりたいです」だけで転職するのは難しいです。営業の中で、課題発見、改善提案、仕組みづくり、周囲の巻き込みなど、企画職に近い経験を作っておくと語りやすくなります。
営業企画と事業企画はどちらが狙いやすいですか?
営業経験を直接活かしやすいのは、営業企画の方が多いと思います。営業資料の改善、商談プロセスの設計、売上分析、営業戦略の立案など、営業現場との接続が強いからです。一方で、事業企画を目指す場合は、より広く事業全体を見る視点や、他部署を巻き込む経験があると強くなります。
企画経験が本当にゼロでも大丈夫ですか?
まずは「本当にゼロなのか」を棚卸ししてみるのがおすすめです。職種名として企画をしていなくても、顧客の声をもとに改善したこと、社内の仕組みを作ったこと、イベントや施策を考えたことがあれば、企画経験として語れる可能性があります。
営業がつらいから企画職に行きたい、でもいいですか?
きっかけとしては自然だと思います。ただ、面接や職務経歴書では「営業が嫌だから」だけで語らない方がいいです。営業経験の中で何に面白さを感じたのか、どんな課題に向き合いたいのか、どんな形で価値を出したいのかまで言葉にできると、前向きなキャリアチェンジとして伝わりやすくなります。

まとめ:企画職への入口は、今の仕事の中にもある

営業から企画職へ転職したいと思ったとき、「自分には企画経験がない」と感じるのは自然です。

でも、そこで止まらなくて大丈夫です。

企画経験は、企画職という肩書きがないと作れないものではありません。

顧客の声を整理する。失注理由を分析する。小さな仕組みを作る。顧客満足度と新規獲得の両方に効く施策を試す。社内や協業先を巻き込んで実行まで持っていく。

こうした経験は、今の営業職の中でも作れます。

最初から大きな実績を作ろうとしなくていいです。

まずは、自分の今までの経験を棚卸しする。今の仕事の中で一つだけ小さな課題を見つける。仮説を立てて、何かを形にしてみる。

その一歩が、営業から企画職へキャリアをスライドさせる最初の経験になります。

そして、自分の経験がどんな職種につながるのか分からないときは、一人で抱え込まず、求人を見たり、転職エージェントに相談したりしてみてください。

転職すると決める前でも、外から自分の経験がどう見えるのかを知るだけで、次に作るべき経験が見えてきます。

営業から企画職への転職は、いきなり遠くへ跳ぶ話ではありません。今の仕事の中にある小さな企画の種を見つけて、少しずつ形にしていく。その積み重ねで、次のキャリアは作れます。

はっさく太郎

この記事を書いた人:はっさく太郎

「まいんでぃあ」開発者。
介護施設での店舗運営・営業、転職エージェント側のキャリアを経て、現在は事業企画寄りの仕事に従事。自身の実体験をもとに、営業経験を次のキャリアへ翻訳する方法を発信しています。